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最高裁判所第三小法廷 昭和31年(あ)1868号 決定 1956年9月25日

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人杉崎安夫の上告趣意第一点の第一は、事実誤認、法令違反の主張であり、同第一点の第二は、事実誤認の主張であり、同第二点は、法令違反の主張を出でないものであり、同第三点は、量刑不当の主張であって、いずれも刑訴四〇五条の適法な上告理由にあたらない。(なお被告人の携帯した本件刃渡り約一四糎の登山用ナイフは、あいくちとその作りおよびその性能または用途において類似し、容易にこれを隠し携帯することができ、かつ、社会通念上人の身体を損傷する用に供される危険性があるものと認められるから、銃砲刀剣類等所持取締令一五条にいわゆるあいくちに類似する刃物に該当すると解すべきである。原判決の維持した第一審判決が、単に刃渡り約一四糎の登山用ナイフとのみ判示しているのは、判文として十分でないきらいがあるけれども、右登山用ナイフが前記法令一五条のあいくちに類似する刃物にあたること前示のとおりであるから、所論のような違法は認められない。)また記録を調べても同四一一条を適用すべきものとは認められない。

よって同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 小林俊三 裁判官 島 保 裁判官 垂水克己)

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